2016年10月24日月曜日

川獺日記



思い立ったが吉日。
僕は今日から日記を書こうと思う。今日は10月24日で月曜日。もうめっきり秋だから、食べ物やスポーツ、読書の話でもしたら風流なんだろうけど、とりあえず忘れないうちに、この日記を始めることになった理由を書いておきたい。
ひとつは青春である。いざ書いてみると恥ずかしい。僕は今、16歳の高校2年生で、母さんや大人のみんなが言うには「青春」のど真ん中にいるらしいから、大人になって、この若かりし時代の日記を読み返したら、きっと楽しいんじゃないかと思って決意した。だからなるべく大人びたことなんて書かずに、高校生っぽい若さ溢れる日記にしたい。
もうひとつの理由は僕が応援しているチャットモンチーのえっちゃんが三行日記を書いているというのを、今日の帰り道にネットで見たからだ。正直、こっちが主な理由かもしれない。全然かっこよくない決意のきっかけだけど、それも若さ溢れる高校生らしくてむしろいいじゃないかと、我ながらナイスな理由だとも思ったりする。えっちゃんの話はまた今度書く。
次にタイトル。別になくてもよかったんだけど、ちゃんと決めたほうが続くような気がして一応つけた。で、まず日記といったら「蜻蛉日記」が浮かんできて、僕は今更ながらに蜻蛉とはなんだろう、と疑問に思い、ネットで調べてみたら、すごい気持ち悪い虫が画面に出てきて、げんなりしちゃった。だから、もしも僕のこの日記がいつかの未来で古典の題材になって、その時にネットでタイトルを調べた人が僕みたいにげんなりしないように、いやむしろほんわか優しい気持ちになったらいいなと願いの気持ちも込めて、可愛らしいカワウソにした。僕は時々ネットでカワウソを見てるのだけど、それはもう最高に癒される。ものすごくダサい名前なのは自分でも分かる。でもそのくらいのほうが、あとで見返した時に絶対面白い。と思う。だからもういい。ただのタイトルだ。自分の好きな動物を使って悪いことはないだろう。まえに、カワウソについて調べたことがあったけど、どうやら昔の人たちはカワウソを悪いやつだと考えていたらしくて、それ以上詳しく調べるのをやめた覚えがある。僕はカワウソが好きだし、ずっと好きでいたい。そうだ、折角だから好きな動物ベスト5を記しておこう。これは何かのドラマでもやっていた気がするけど。一位カワウソ、二位ゴリラ、三位サイ、四位トラ、五位ウォンバット、六位シカ。ダメだ、六位までいってしまう。けどシカを外すわけにもいかない。というかこのランキングを作るのに、1時間も掛かってしまった。くだらねぇ。日記を書こう。
今日も宍戸と一緒に学校へ行って朝練をした。僕も宍戸も朝はあまりしゃべらない。だけど3時間目の宍戸はめちゃくちゃ面白かった。最高だ。授業中に、廊下が妙にうるさいなぁと思っていたら、案の定宍戸で、あいつはラジカセを肩に抱えて、ウィーアーザワールドを歌ってた。しかも全身に紫色のスズランテープを巻いて。僕は腹が痛くなるほど笑った。やっぱり宍戸はすげぇや。何を考えてるのか全然分からない。最初は「先生も一緒に歌いましょうよ!」って笑って言っていた宍戸だったけど、集まった先生たちにとり囲まれて、ラジカセの電源を切られると、怒り狂って暴れてた。宍戸の逆ギレは毎度のことだけど、今日は特に怒ってた。多分よっぽど楽しかったんだと思う。宍戸は僕の前では一度も怒ったことがない。「分からない奴らには腹が立つ。」とか言っていたのをいつだかの帰り道で聞いたことがある。僕は宍戸にとって「分かる奴」なのかもしれない。今日のスズランテープの時も、僕の教室に来た際には、「本田!見ろよ!」って僕の方を向いてゲラゲラ笑ってた。僕はあんなふざけた真似はできないのに、宍戸は何故だか僕を好いてくれてる。僕にとってはラッキーだ。あんな面白い奴は見たことがない。宍戸の話もいつかまとめて書いておきたい。彼の奇行列伝を最も詳しく書けるのは多分僕なんだから。きっとやろう。そして大人になったあいつとその子供に見せてやろう。これはなかなか良い思いつきだ。なんだか未来は明るいぞ。
昼休みは昼練。午後の授業も特に普通だったな。異常なし。今の席はつまらん。席替えが待ち遠しい。文化祭も修学旅行も終わってるし、書き始めるの少し遅かったかな。2月に合唱コンは一応あるけど。退屈退屈。明日の体育に期待。
放課後、塾。最近すごい席が埋まってる。3年生がほとんどだろう。僕の姉貴も、違う塾だけど、最近の集中力はすごい。いつ見ても勉強してる。近寄れない。僕も来年あぁなるのかと思うとちょっとつらい。姉貴は僕と違って頭がいいから、きっと受かるだろう。どうやら国立志望だそうだ。僕にはちょっと考えられない。僕は勉強は嫌いじゃないけど、悲しいことに得意でもない。下手の横好きってやつだ。下手の横好き。ことわざは悲しいものが多い。教訓みたいなものだから、反面教師的なつくりでそうなるのは当然かもしれない。けど、この下手の横好きに関しては、教訓も何もないじゃないか。ただの悪口だ。救いがない。だけど僕は意外とこいつが嫌いじゃない。というか結構好きだ。お気に入りのことわざ。座右の銘にしたっていい。確かに残酷な事実だけど、そこには滑稽がある。愛だ。僕はそう思う。この囁きには愛がある。僕はまだ若いけど、愛については心得ているつもりだ。いけない。話がずれた。悪い癖だ。塾の話。塾は週4くらいで行っている。周りはそんなにまだ通っていないみたいだけど、僕は姉貴にすすめられて去年から通っている。僕はあまり頭が良くないから、人の言うことはなるべく聞くようにしてる。姉貴は頭がいいから尚更だ。今日は平井先生と話した。平井先生はスラッとしててかっこいい。それに大人の雰囲気があって、安心する。頭も良さそうだし、きっとモテるだろう。僕にもあんな落ち着いた雰囲気があればと思うのだが、さっぱりダメだ。僕はなんだか慌ただしくて、みっともない。単に年齢のせいなんだろうか。
塾から家へ向かう途中で、このノートを買った。イェイ!
晩飯はカレーだった。何故だか家に誰もいなかったから、1人で温めて食べた。今回のカレーはいつもより黄色い。母さんは色々試行錯誤して、毎回カレーを作っているのかもしれない。でも申し訳ないけど、味の違いは僕には分からなかった。たぶん僕は味オンチだ。将来、奥さんに怒られるかもしれない。けど、何でも馬鹿みたいに美味しく食べる奴の方が、奥さんにとっては楽なんじゃないか。僕はだいたいのものなら美味しいって感じられる。同級のやつらは、あそこのラーメン屋はまずいとか、色々味へのこだわりが強いみたいだけど、僕はお店の料理でまずいと思ったことはない。母さんの料理も全部うまい。僕のへなちょこ料理でさえ、なかなか満足だ。
寒くなってきた。窓を開けて寝るのはそろそろ厳しいかもしれん。明日の朝起きれるか心配だ。寒いとそれだけ布団のことを好きになってしまう。僕は毛布も大好きだ。てことで、もう寝ようと思う。なんだか書きすぎた。三行日記のはずが、何行書いたんだか数えるのも面倒くさい。きっと初日だからだろう。三日坊主にならないよう気をつけたい。僕は飽きっぽい。これは何より忌むべき僕の弱点だ。
継続は力なり。
今、トイレに行ったら、姉貴はまだ起きているみたいだ。姉貴は本当にすごいと思う。きっと受かってほしい。