2017年1月19日木曜日

心が折れそうなメロス






私の名前はセリヌンティウス。私はここで、或る人を待っているのだ。





メロス。君は今、どんな顔をしている?悩んでいるのか?苦しんでいるのか?残念なことに、それはここから見えない。しかし、ここだけの話、私は笑っているのだよ。私は笑っている。安心しきっている。私の胸には、見事に一点の曇りもないのだよ。

おい、メロス。私は嘘を言わないぞ。絶対に嘘は言わない。少しでも嘘くさいところがあれば、私を思い切り殴ってくれていい。そうだ、君はいつも口ばかりで、全然私を殴らないじゃないか。何故だ、メロス。正直、私は君に殴られたいんだ。嘘をつこうがつかなかろうが、どっちにしろ殴ってほしい。殴れ、メロス。いや、エロス。うむ。話がずれたぞメロス。とにかく私は、本当なんだ。本当に心から笑っているのだよ。君は必ず来る。そう信じているのだ。私は、みんなに言っているぞ。ここの周りの連中、みんなにいつも言っている。君は必ず来る。そう、馬鹿みたいに大きな声で言っているのだ。私は全く心配していないのだからな。間違っていたらどうしようなんてことは、微塵も気にしたことがないんだ。何故なら、君は、来るからだ!君は必ず来る!私は君を知っている。君が必死で頑張っていることを知っている。そして、知っているからこそ、分かるのだ。知っているからこそ、笑っていられるのだ。君は、勝つ。だって君は、セリヌンティウスの友、メロスではないか。君は負けるような人ではない。君の目を見ればそのぐらい分かるものさ。なんだって、君の目は強い。ガッキーみたいだ。くりそつだ。なぁ、そうだろう?ガッキーで思い出したが、メロス、君はおいなりさんが本当に大好きなんだな。驚いたよ。おいなりさんが好きなやつなんて、この辺じゃ君ぐらいなもんじゃないか?あれは、実際、どうなんだ?うまいのか?あと、おいなり「さん」ってなんだ?何故、これから食らうものにわざわざ敬称をつけて呼んでいるんだ?こっちへ着いたら、是非教えてくれよ。Teach,メロス。うむ。なんだか、私がおいなりさんと連呼すると、卑猥な響きがするのか、みんながこっちを向いて笑ってくるから、もう止そう。しかし、メロス。君に言うことなど他にないのだよ。君は信頼されている。私は自信に満ちている。これに限る。断じて嘘ではない。それに、もしもだ。私は絶対に無いと心の底から信じきっているのだが、万が一、もしものことがあったとしても、私は君を責めないし、ガッカリも失望もしない。するわけないだろう。私と君は、何があっても、セリヌンティウスとメロスじゃないか。安心しろ。私はいつでもここで待っている。それに何より、君は大丈夫なんだ。そうだ。変なことを言わせるな。変なことを言わせるな。君は勝つ。私はずっとそう言ってきた。いいか、君に必要なのは、実力を出し切ることだけなんだ。それだけだ。だから、君はもっと自信を持っていい。自信を持て。オラオラしていけ。こんなことを言うのは少し照れくさいが、君の友は、君を尊敬していたりするのだぞ。君の友は、君に出会えたことを、心から神に感謝しているのだ。何も心配するな。本当にもう少しじゃないか。あとちょっとだけ、走れ、メロス!




P.S 何故だかキムランティウスがダースをくれたのだが、私はチョコが食べられないから参ったよ。あと、最近、割り箸がうまく割れない。