2016年9月23日金曜日

雨の日

今日、家からここへ向かっているとき、雨のせいもあってか靴がツルッと滑ってしまい、バランスを崩しそうになってしまった。なんとか転ばずには済んだのだが、前から歩いてきた女子高生二人組がぼくの方を見て
「パナフィス」
「パナフィス」
と、順になっておっしゃられた。
これはいったいなんだろうか。おそらく、くしゃみをした時の「bless you」的な、同時に同じ単語を言った時の「ハッピーアイスクリーム」的なものであり、女子高生の中では反射的に言葉が出てしまうほどに常識的な慣習に違いないと僕は考えた。
電車で横浜駅に着いたとき、向かいに座っていたおばさんが、ツルッとした。いつだって若者の味方でありたい僕は勇気を出して、
「パナフィス」
と、おばさんをいたわるような目で見つめながらつぶやいた。
電車の中がとんでもない雰囲気になった。
乗客の痛いほどの視線を浴びながら、パニクった僕は
「マナビス、マナビス」
と、携帯を見ながら叫ぶようにつぶやき続けた。