2017年3月26日日曜日

愛を振り撒け!



危険なやつが、クラスに入ってきた。こいつは、のちのち良いやつに生まれ変わる、よくあるタイプの危険なやつではなく、登場から死滅するまで一貫して危険で、どうとらえてもクラスにまったく必要とされていない、最低最悪の、そういう危険なやつなのである。つまり、排除すればいいのである。排除しなくてはならないやつ。百害あって一利なし。仮にこのまま放っておけば、クラスが死滅する可能性だってなきにしもあらず、なのである。
さて、このとき、どうしてこいつを追い出そうか?
クラスに多少の犠牲者が出てもかまわないから、一気に、徹底的にこいつと闘い、早急に追い出す。もしくは、クラスに犠牲者を出さないよう、リスクを最低限度に抑え、毎日チクチクと攻撃し、長い時間かけてゆっくりとこいつを追い出す。どちらもそれぞれメリット・デメリットを抱えているだろうが、君はどうだ?どうすべきだろう。

実はこれ、私のカラダの話なのである。私のカラダの、風邪に対する対処の仕方の話なのである。下手な例えで申し訳ないのだが、少しでも同情を得たく、こんな遠まわりな書き方をしてしまった。
私は、熱が出たことがない。いつも微熱だ。36.8くらいだ。そうなると、風邪をひいているとはいえ、学校は休めない。部活もいける。というか、なんだってできる。ちょっと頭が痛かったり、機嫌が悪かったりするだけで、遊びの誘いも断れない。そんな感じになってしまう。そうして私は、風邪になると、二カ月くらい風邪のままだ。ぶっ倒れるほどの高熱に襲われることのない代わりに、なかなか、いや、ちっとも良くならない、治らない、ずっと風邪。二か月、風邪。二か月間、どうも不機嫌なのである。なので、これ、どうにかして、なんとかしたいと思うのである。私としては、高熱を伴ってもいいから、一気に風邪を追い払って欲しいのである。私のカラダの闘い方は、セコくて、ずるい。リスクを負わず、チクチクチクチクと攻撃し、二カ月たって、ようやく完調を得る。なんとも男らしくない闘い方で、自分ながらに嫌気がさす。
私。私は、高校三年間、皆勤賞である。部活も全部出た。停部を喰らって出られない時も出ていた。試合には一度も出られなかった。要するに、高校三年間、一度も学校を休んでいないのである。たぶん、中学もそうだろう。しかし、それを聞き、あいつはカラダが丈夫だ、なんて思ってほしくないのである。気を遣ってくれたまえ。そいつは、大体風邪なのだ。一年中、微熱を伴い、時々、呼吸を詰まらせながら、不機嫌に暮らしている男なのだ。気を遣ってくれたまえ。そいつのカラダは、今も、元気に立ち働いているように見える今この瞬間も、戦闘真っ只中なのだ。チクチク戦法は格好がいいとは言い難いが、それでも、一応、闘っているのだ。

いろんな人がいて、それぞれいろんなことを考えている。みんな、周りに優しくしましょう。愛を持ちましょう。人の気持ちが考えられる優しい人間になってほしい。私の名前は、優。