2017年12月24日日曜日




こんにちは。
ちょっと友人から聞いた話をひとつ。みなさん大好きクリスマスイブの、男女にまつわる話をひとつ。まさに12月24日。だからこそ、今日はここへ来たんだぞ。本当なら、私はこの時期、なかなか忙しい男であることを、みなさんにはよくよく覚えておいていただきたい。そしてこの友人の話は、友人の高校生の頃の話で、この高校には、実は私も在籍した。ところが当時の私は、男女の話に疎いというか、そもそもまだ男女の区別もままならないような青臭い男であったから、この友人が語る思い出話を、これから聞くみなさんと同じように、全く新鮮な気持ちで聞くことが出来た。なので、まぁ一緒に楽しくいきましょう。


まず、高校には、白石さんとかいう、一顧傾城、羞花閉月、沈魚落雁、よくわからんが、とにもかくにも、とんでもなくかわいい人がいたらしい。この人は、ミス荒涼(私の高校名)で、何人かの男子生徒がいうには、ミス東日本と言ったって、ちっともおかしくなかったそうだ。なので、みんな彼女が好きだった。どうやら友人も好きだったらしい。なんと、私も好きだったそうだ。そしてこの白石さんは、とにかく明るい人であった。誰とでも分け隔てなく接することが、彼女の一番のモットーなのである。そんな良い人だから、純朴ウブな男子高生はもちろん、いい年した男性教師ですら、もしかしたら、イケるんじゃねぇか?と、一様にみな勘違いしちゃっているのである。一方白石さんご本人は、そういう勘違いにはなかなか鈍感なようで、なんとも罪な人なのだ。おっと、女性のみなさん、疑っちゃいかんよ。ミス東日本が天然だって、まったくあり得なくはないじゃないか。
はい、次に、サッカー部。長身痩躯のクールガイ、井出くんとかいう人がいたそうで。そしてなんとこの井出くんとかいう男、とても羨ましいことに、先程のミス東日本白石さんと、なかなかよろしい間柄であったそうだ。3日にいっぺんは、こっそり二人で帰る。月に一度くらいは、ちょこちょこお出かけしたりもする。要するに、なかなかよろしい間柄である。こうした井出くんと白石さんの諸々は、恋愛に関する嗅覚だけは異様に鋭い、あの例の連中たちなどには、知れていたりもした。井出くんはどうだか分からないが、わりとそうしたことにこだわらない白石さんは、別に気にしすぎる様子もなく、弁当食いながらペラペラ井出くんの話をすることもあったそうだ。
Finally, ラグビー部。ここに上記の事情を一切知らない、青木くんとかいう、これまた長身の男がいた。青木くんは、もちろん白石さんが好きである。みんな好きなんだから、青木くんが好きだってちっともおかしいはずはない。けれどもこの青木くん、ラグビー部ではイノシシと呼ばれており、つい興奮すると、自分がトライしたことにも気がつかず、隣町まで走って行ってしまうような、多少熱血すぎるところがあった。で、あるから24日、青木くんは案の定興奮しすぎた。学校からの帰り道、たまたま白石さんを見つけた彼は、ここぞとばかりに高速タックル、勇気百倍話しかけた!もしも無視されたならば、潔く死んでしまおうと考えていた青木くんだが、そこは誰とでも分け隔てなく接することがモットーの白石さんである、臆することなくキラッキラの笑顔で青木くんのつまらん話を聞いてあげて、ルンルンふたりで歩いて帰った。井出くんはこの時、サッカーの部活が長引いていた。
それから自信をつけた青木くんは、武勇伝のごとく、俺はイケると、部活仲間に豪語していたそうだが、そんな事情をひどく哀れにでも思ったか、あの恋愛嗅覚ビンビン軍団のひとりが、体から湯気が出ている青木くんに、そっと井出くんの存在を教えてあげると、彼は恥ずかしさのあまり、また隣町まで走って行った。白石さんは、そんなこと全然知らない。たまたま、24日、歩いてたら、あの人なんだっけ、なんか坊主のラグビー部の人、それが話しかけてきて、そのままダラダラ歩いて、駅で菓子パンでも食べたっけな、まぁいいや、てか英語ねむい、てな感じである。しかし、井出くんが!井出くんが、怒った!怒って怒って狂喜乱舞、なんとそのまま別れてしまった!名古屋以東で一番かわいい、ミス東日本に見切りをつけた!



「なるほど、そりゃ男女の感覚の違いってやつかい?よくわかんないけど、男がやっぱり馬鹿なようだよ。23日だったら許したのかい?アホくさいね」

「まぁなかなか求め合うところが違うんだろうよ。懐かしいなぁ、面白かった?」

「面白かったよ、今度ブログに書いてやる。だけど高校にラグビーの青木なんていたかなぁ?ん、さては。おい、実はお前が青木なんだろ?いや、そうだ、ちがいないね」

「あ、バレた?確かに青木なんてのはいなかった。てかその前にラグビー部がなかったから。でも違うよ、お前本当に何も覚えてないのか?俺は白石だよ。あれからイブが嫌いになっちゃってね」

「、、、ぬ?」