2017年12月23日土曜日

日の丸




おできができました。もう、生きちゃいれません。お日様の下、前向いて歩かれません。しくじりました。しくじりました。色の白いは、七難隠せません。むしろ、この奇妙に白い肌、仇となってしまってるようです。おできくんが、この赤くて醜いおできボーイが、余計に映えて見えるようです。みっともない。日の丸、とでも呼ばれているかもしれません。なんせ、ど真ん中にあるんです。へそじゃありません。鼻です。鼻。鼻の頭のど真ん中が、赤くチョコンと、突き出ています。自信ありげに、突き出ています。すると、お馬鹿みたいに見えるんですね。鏡見るたび、笑ってます。見事なくらいに、間抜けな顔です。トナカイ。赤鼻の、ルドルフ。ルドルフ。ぷぷっ。笑ってしまいます。笑いは、救いですね。自嘲は、防空壕のようですね。やだっ、また嘘つきました。防空壕なんか、ぜんぜん知りません。ぜんぜん知りませんけど、いまはいいかもしれません。暗いでしょうから。おい、ルドルフ、お前のその赤鼻で、この防空壕を照らしてくれんか?ぷぷっ。わたしは、馬鹿だ。精神的に向上心のないやつは、馬鹿だ!ぷぷっ。夏目漱石さん、かわいらしいです。わたしも、怒られたく思います。わたしも、精神的なところを、もっと心強く保つべきなんだと思います。たったおできくんのひとつくらい、けろりとして、鼻で笑ってやることができたなら。鼻で笑う。とにかく、天皇陛下、万歳!万歳!万歳!なんか、白鵬みたいになりました。
「おねぇちゃん、鼻どうしたの?」
「うるさい!」
「ぷぷっ」
「こら!」
妹が、嫌いです。好きだったけど、もう嫌いです。あんなやつには、きっとおできができるでしょう。おできに呪われて、おできのない人に笑われるのでしょう。そうに決まってます。わたしは、おできを笑ったことはありません。中学生になって、まわりにおできができた子はたくさんいましたけれど、わたしは笑ったことは一度もありません。夜寝る前、いつもひとりで祈ってました。神さん、わたしはおできを笑いませんので、どうかわたしにだけはおできをつくらないでください。お願いします。そうして朝、鏡を見ては、神さんに感謝を、ありがとうごぜぇますと、何度言ったことか知れません。ですが、ぜんぶインチキでした。神さんなんていませんでした。おできさんは、関係ないです。おできさんは、人格的なものとは、まったく無関係に活動なさっているご様子です。やはり、外面的な戦い。で、あるようです。わたしは、鼻を、かぱっと、手のひらで覆ってしまって、日々、暮らしています。コアラです。動く、コアラ。俺の女は、コアラに似てるぜ?ぷぷぷっ。マスクは嫌なのです。あれは、不潔です。おできさんより不潔です。雑巾です。ほんとにきたない。美容師が、マスクをしていると、気分が悪くなります。妹がマスクをしていれば、取れって言います。コアラのほうが、幾分マシです。コアラは、ほんとはちょっぴり気に入っています。コアラのポーズして、まわりをキョロキョロ見回すのは、なかなかかわいらしくも感じられるようです。さっきも、風呂場で、鏡に映ったコアラとキョロキョロしあって、こう、敵を探すように、コアラらしからぬ機敏な動きで、キョロリ、キョロリ、ひとりで笑い転げました。疲れました。顔洗って寝ます。顔洗って、歯を磨いて、顔洗って、顔の汚れをとりたく思います。最近、足なんかが妙に乾燥してかゆいので、顔の油を、そっちのほうへ、分けてやってくださいませ。まぁ、誰に言ってるんだか。コアラの独り言。コアラの悲しい独り言。コアラの、マーチ。マーチって、なんですか?コアラの、マーチ。わたしも、いつかは、自信を持ってマーチしたいです。
では、そろそろお別れいたしましょう。明日は、クリスマスイブだそうです。天皇陛下に万歳したら、今度はイエスキリストさんに万歳するようです。どうでもいいことです。アイラブジャパン。偉い人みなさん、お恨み申し上げます。さようなら、さようなら。あしたからは、毎日ハンバーガー食べたいです。誰か、誰か、誰か。