2016年12月21日水曜日

に、ん、じ、ゃ


ごきげんよう、assistant adviserの清水です。
わたくし、実は、忍者でして。
それでいて、実は、わたくし、桑名adviserのことが好きでして。けれど、このことを桑名adviserはまだ知らないし、わたくしもこの先伝えようという意志も無いのでございまして。なぜなら、わたくし、忍者ですもの。忍者に恋は禁物。仕事に支障が出てしまいますもの。手裏剣の回転量は落ちますし、基本中の基本、水上歩行もままならないようなことになりますと、これ、忍者としては、自分の分身に背中を刺されるような、まさに命取りの事態になりかねません。ですので、わたくし、気持ちを抑えて、隠して、忍んで、ひっそりと彼女のことを想い、こっそりと盗み見て、そそくさと後をつけたりしている所存でございまして。けれど、やはり忍者といえども人間でして、自分の気持ちに嘘をついて過ごすのは、大変な苦労が伴いまして、一緒に出勤し働いているときなど、もう心がちりぢりに乱れてしまって、あぁ、忍者なんぞやめてしまいたい、いっそ彼女を連れてどこか遠い誰もいない島まで二人で泳いで行き、いや、そんなことをしないまでも、普通の人間らしく、都会の狭いワンルームを借りて、その日暮らしののんびりとした生活にでも浸りたいと思うことがあるのです。
忍者、失格。
わたくし、その烙印を自分に押し付けて、もう何もかも忘れてしまって、いえ、そんなことをせずとも、偉くて立派な忍者の先輩方に、勝手に記憶を消されるのでしょうが、とにかく仕事やら誇りやら国やらお金やら、そんなものはどうでもいいので、お慕いしている方と一緒に意地汚くただ生きるためだけに生活したい、と思っております。
わたくし、二十七歳、忍者は若作りの秘薬を飲んでおりますゆえ、大抵の人から、もう少し若く見られるようでして。