2016年12月18日日曜日

NINJA


   三


俺は、忍者だ。
私服は、地味目だ。一際目立つような奇抜な服装で、聴衆の余計な関心を引くわけにはいかない。なぜなら、俺は、忍者だ。
黒を基調にする。俺は、夜が基本的な仕事時間だ。闇にまぎれて、素早くこなす。そのための、黒だ。が、黒のニット帽は被らない。逆に怪しまれる可能性があるからだ。ここが、俺とその辺の下忍者との違いってもんだろう。ただ色を暗くすればいいってもんではない。忍者とは、紛れる者だ。地味でも派手でもない、なんとも言い難い普通の服装をし、凡庸に振る舞い、高くも低くもない声で挨拶する。そんな特徴のない、何でも無難にこなす奴、君の周りにもいるんじゃないか?これは極秘情報だが、現在の日本において、40人に1人は忍者だそうだ。


   四


俺は、忍者だ。
運動神経は、良い方だ。少年野球をやっていた時、素直に楽しかった思い出がある。しかし、わざと遅く走るのだけは、ツラかった。